0.導入
京都大学体育会水泳部に関わる全ての皆様。
お世話になっております。
4回生の笹村航と申します。
9月5日、インカレの4継をもって引退しました。
目標の51.49には全く届きませんでしたが、最後に引き継ぎベストを出すことができ、及第点かなと思います。
今夏問題だった、リレーの前半遅い問題も最後に解決できて良かったです。
後半いつも通り27.0くらいで帰ってこられれば51.5くらい出そうでしたが、、、。
さらに、ターン前もうひとかきするべきでしたし、今夏得意としていたターン後のギアチェンジもできませんでした。
このように反省はありますが、後悔は全くしていません。
今は清々しい気持ちです。(と、京泳会LINEに送信させていただいたところ、高牟礼さんから「素晴らしい!努力を積み重ね、全力を尽くした人のみが言い得る言葉ですね!」と返信をいただきました。嬉しかったです。)
現役の皆さんも最後はこんな気持ちで引退できると良いですね。
さて、このまま清々しい気持ちで水泳から離れていきたいのは山々ですが、他の先輩方がそうしてきたように「引退日記」を書かなければなりません。
「引退日記」に書く内容は特に定められていないでしょうが、まずは、知りたい人も一定数いるでしょうから「⒈これまでの水泳人生の振り返り」、次に、僕が後輩選手に遺したい「⒉笹村の肩の上に立つ」、そして、僕の思想を書く「⒊伝えておきたいこと」、最後に「⒋皆さんへのメッセージ」の四つに分けて書き進めていこうと思います。
「⒉笹村の肩の上に立つ」と「⒊伝えておきたいこと」は共通部分が多そうですが、タイムを伸ばすのに直接的に関わるであろうことを⒉に、それ以外の思っていたことを⒊に書こうと思っています。
⒈これまでの水泳人生の振り返り
年中のときに長岡スイミング、通称カエルスイミングに入りました。
小学校のうちに1番上の級まで進みましたが、選手コースを勧められることも特になく、そのままワッペンコースで続けていました。
中学ではできる運動が水泳だけだったので水泳部に入り、しょぼい練習をして、井の中の蛙で楽しんでいました。
高校でもできる運動が水泳だけだったので水泳部に入り、少し強度は上がったもののやはりしょぼい練習をして、井の中の蛙の3〜4番手くらいまで速くなって楽しんでいました。
そして、大学でもできる運動が水泳だけだったので水泳部に入りました。
と、ここで大学水泳での50/100m自由形のタイム遍歴を掲載しておきます。
表1 50m自由形、100m自由形のタイム
図1 50m自由形のタイム遍歴
図2 100m自由形のタイム遍歴
当時の自己ベストは菱形で表示しています。
シーズンはじめに番号付きのものを再掲するようにしますが、表とグラフを印刷するか他の端末に映して見ながら読んでいくとわかりやすいかと思います。
2022/4 ~ 2022/8 全進
図3 50m自由形のタイム遍歴(番号付き)
図4 100m自由形のタイム遍歴(番号付き)
他のサークルも見に行こうと思っていましたが、気づいたら入部期限だったのでぬるっと入部しました。
速くなりたい気持ちはそんなになく、運動しといたほうが良いなというゆるい気持ちだったと記憶しています。
部の雰囲気は当時の僕からするとかなり厳しく感じ、自分の気持ちとのギャップを感じて部活を辞めたいと思うことが多かったです。(今ではその厳しさが部にとって必要だということも理解できますし、その厳しさがあったほうが良いとも思います。)
先輩が怖かったので、やる気なさそうには見えないようにある程度頑張っていました。
当然レギュラーはなかったので強化練をやり、夏季長で1分割りを達成してまあまあ嬉しかったです(1)。

2022/10 ~ 2023/8 青炎
図3 50m自由形のタイム遍歴(番号付き)(再掲)
図4 100m自由形のタイム遍歴(番号付き)(再掲)
10月からは新体制になったことで先輩が比較的怖くなくなり、また、幸登さんなどに仲良くしてもらってだんだん部に馴染んできて、心の部活の割合が高まったことで速くなりたいと思うようになったと思います。
幸登さんの影響が大きかったですかね。幸登さんのアツい気持ちに引っ張っていただきました。
短水路シーズンではぽんぽんベストが出て、現役の半フリ専門の中で3番手につけました(2)。
しかし、ここで中堂が入部します。
関国のレギュラーを決める大会だった夏季公で0.4秒くらいベストを更新しました(3)が、復帰明けの中堂には勝てず、関国では応援に専念することとなりました。
関国では、中堂はしっかり優勝しててかっこよかったです。
関カレではテストを受ける中堂の代わりに半フリのレギュラーをいただきましたが、ベストさえ出せず予選敗退でした(4)。
出せると思っていた24秒台を出していれば決勝に行けていたのでかなり落ち込みました。
おそらくテーパー期間中に不安になって泳ぎすぎたのが良くなかったです。
これ以降、テーパーを丁寧にやるようになりました。
そんなことをしているうちに、気づいたら水泳が生活の大事な軸になり、水泳部が1番大事なコミュニティになっていました。
もっと速くなってチームに貢献したいと思うようになったのもこの頃からです。
これもやはり幸登さんの影響が大きかったでしょう。
今年は全国公出られなかったけど来年は出るぞ、の写真を貼りたかったのですが見つけられませんでした。
2023/10 ~ 2024/8 総乱舞
図3 50m自由形のタイム遍歴(番号付き)(再掲)
図4 100m自由形のタイム遍歴(番号付き)(再掲)
10月からメニュー係になりました。
その頃は速い方ではなく、ちゃんとした練習をし始めたのも大学から、さらに、練習の内容について考えたことは全くなく、メニュー係に向いているとは言えない状態でした。
他に向いている人なんてたくさんいるだろうと感じて苦しい時もありましたが、なんとか幸登さんに面倒を見ていただいて続けられました。(幸登さんに毎回メニューを送ってチェックしてもらっていました。ありがとうございました。)
そこからは、年末合宿のレペでベスト出せたり、神大合宿に参加させてもらったりして、どんどん自分の殻を破っていけました。
関チャまでは良い感じにタイムを伸ばし(5)、はじめて関国に出場できました。
関国では半フリは0.4秒くらいベストで表彰台に乗ることができました(6)。
一方、1フリは関チャのタイムを越えられず堀くんに負けて4位でした(7)。
それ以降のレースでは半フリはなんとかギリ耐えのタイムを維持できましたが、1フリは泳ぎ方がわからなくなって力が入らなくなり、関カレでは予選敗退でした。
関チャで1フリのタイムがそこそこ良かったので4継のインカレを狙うメンバーに入れてもらえましたが、結局関チャでの引き継ぎベストを更新することができず、インカレには届きませんでした。
潤さんと一緒にインカレに出られなかったのは残念でした。
ラストチャンスの関カレのレース後、堀くんがめっちゃ泣いてて僕もちょっと泣きました。
9月はインカレを見に行ってゴロゴロしてたら終わりました。
最後の一年の目標は「半フリはインカレ突破、1フリは長水で51秒台」に決めました(2フリも決めていましたが、腰の怪我で泳げてなかったからか全く伸びませんでしたね、、、)。
神大の實村と竹川に勝つにはこれくらい必要だろうと考えてのことです。
竹川が本当にそれぐらいになっててすごいなと思います。
僕は残念ながら届きませんでした、、、。
2024/10 ~ 2025/9 STARDOM
図3 50m自由形のタイム遍歴(番号付き)(再掲)
図4 100m自由形のタイム遍歴(番号付き)(再掲)
メニュー隊長になりました。
幸登さんが昨年までうまいことやってくれたおかげで僕も堀くんと相談しながらまあまあ上手くやれたかなと思います。
また、シーズン初めに近大の山本晴基コーチとお話しさせていただき、泳ぐ距離を増やして今までよりもベースアップに重きを置きました。
ミドロンの人はそれで200強くなるので良いだろうと思いましたし、下の代のショートもラストイヤーの大飛躍のためにはこのシーズンはベースアップを重視しても良いのでは、と考えました。
唯一の最上回ショートの僕も200泳げるようになりたかったですし。
さて、練習速かった潤さんと(直己さん)が引退して、練習速いのは堀くんだけになってしまい、堀くんは波があるので、これからは自分が練習を引っ張っていかなければならないと思い、今まで以上に練習を頑張りました。
2フリも泳げるようにしなければならなかったので、ENも頑張りました。
だんだん練習を耐えられるようになってきていましたが、11月2日、草津練で腰を壊しました。
ハムが固まっていて腰が少し痛かったのに、ストレッチせずに無理矢理ダイブしたからでした。
不運とかではなく完全に自分がストレッチサボったのが悪かったので特に落ち込みはしませんでした。
OBOGではかんしんが1フリめっちゃ速くなって部内1位になって、僕だって去年まで結構頑張ってきたのにな、とか思ったりして、少し落ち込みました。
しかし、4継インカレには頼もしい仲間でした。
僕は腰の怪我でほとんどスイム練習ができていなかったですが、冬季公認では4継だけ出て、なんとか引き継ぎベストを出せました(8)。
スイムの時間にやってた体幹と、週2でやっていた筋トレの成果だと思います。
年明けくらいから体幹の時間を短くして、だんだん泳ぐ時間を増やしてなんとか体力を戻していこうとしました。
しかしなかなか練習でタイムをキープできるような体力は戻らず、4継でもそこそこのタイムは出ますが、自分がキャリーしてもらう側だと思ってしまっていたのもあり、制限を4で割ったタイムにも届かずダメダメでした。
しかも春室では失格し、もうダメかと思いました。
あれはあれで楽しかったですが、、、。
半フリでもインカレを狙っていましたが、練習での25mのタイムはぐんぐん速くなるのに、レースのタイムは全然伸びませんでした(9)。
4月に転機が訪れます。
谷口卓さんに練習に来ていただきました。
そこで「脱力」「2%」「スイム練とプランクはストレッチ」などを伝えていただきました。
これらを意識しながら練習していると、なんとタイムが落ちないのです。
ここで気づきました。
実は体力が戻っていないのではなく、脱力できていなかっただけだったのです!(ここ激アツです。練習中これに気づいた時、道がパッとひらけた感じがしました。)
そして、「卓ロール」も生み出します。
これにより関中では、合わせていないにも関わらず1フリは0.3秒ベスト、半フリはベストこそ出ませんでしたがまあまあのタイムでした(10)。
そして春短です。
実質ラストの短水試合でここで4継インカレを切っておかなければかなり面倒なことになっていました。
前半突っ込んで後半気合いで耐えて大きくベストでした(11)。
4人全員が速かったです。
気持ちよかったです。
やっとインカレ切れてホッとしました。
歴代一位までいけるとは思ってなかったです。
ここで一瞬気持ちが切れましたが、いやいや対抗戦だと思い、気持ちを入れ直しました。
練習も良い感じに前よりは強くなり、1フリは後半型になりました。
テンポキープを意識した練習の成果だと思います。
そして関国では、半フリで3位、1フリで優勝できました(12)。
1フリは運が良かったですが、運も実力のうち、ということで。
昨年と一昨年は、対抗戦でベストを出せず悩んでいましたが、今年はどちらもベストを出せて成長を感じました。
関カレでは院試が被っていましたが半フリではなんとか3位を守れました。
全国公は微妙で、インカレは冒頭に書いた通りです。
結局4継は期待していたタイムは出せませんでしたがまあこんなもんでしょう。
歴代2位に入っておきたい感じはありますが、まあ僕ららしいと言えば僕ららしいのでは。
今思うと、腰を壊したからこそラストイヤーもそこそこタイムを伸ばせたのかなと思います。
泳げない期間で陸トレをじっくりできたのがよかったです。
愛には陸トレのメニューを作ってもらったりして面倒を見てもらいました。ありがとう。結構感謝してます。
(バイクやらなくてすみません。キツすぎてこれやるくらいならタイム伸びなくてもいいと思ってしまいできませんでした。)

⒉笹村の肩の上に立つ
さて、ここまではどうでも良くて、僕が遺したいものはここからです。
タイムを伸ばす上で大事だと僕が思ったことを書いていきます。
少しでも速くなるための手掛かりになれば嬉しいです。
①泳ぎの三要素(筋力、可動域、技術)
筋力、可動域、技術は互いに作用し合っています。また、この三要素が全て揃わないとタイムに繋がりません。
⑴筋力と可動域
基本的に筋力と可動域(柔軟性)はトレードオフで、筋トレすれば体は硬くなります。
しかし、ストレッチをしっかりすることで柔軟性を確保することは可能です。
⑵可動域と技術
十分な可動域がなければ成し得ない技術があります。
わかりやすいものだと、高い位置でのキャッチには肩や胸の可動域が必要です。
⑶技術と筋力
実は、筋力をつけることで技術が習得しやすくなります。
背中を使った泳ぎを習得したければ背中を鍛えれば良いし、プッシュまで押し切りたいなら三頭筋を鍛えれば良いし、卓ロールをしたいのであれば体幹まわりを鍛えれば良いのです。
人間の体は使いやすい、力を発揮しやすい筋肉を使うようにできているので、そもそもの筋力がなければ使いたい筋肉は使えません。
(ただし、村佐くんのようにセンスが抜群に良い人であれば体が細くても理想的な泳ぎができます。一応書いておきますが、京大水泳部にはそのような人はいないです。)
スイム練だけを頑張っても限界が来てしまいます。
スイム練でどれだけ意識してもできるようにならない技術に対して、可動域か筋力が足りていないのではないか、という視点を持つと良いかもしれません。
逆にいえば、スイム練めっちゃ頑張ってるのになかなか結果が出ないという人は可動域が筋力にヒントがあるかもしれないです。
僕はどうしてもプッシュを最後まで押し切れませんでしたが、三頭筋を鍛えると押し切れるようになりました。
また、卓ロールをできたのも、腰を怪我して泳げなかった時に体幹周りを鍛えたからだと思います。
②新しい刺激
一定期間ごとに体に新しい刺激を入れることが大切です。
同じことばかりしていては効果がだんだんなくなっていきます。
僕の経験を下に書きます。
入部→今までにない練習量
1回3月→トレーナーチーム発足により筋トレ開始
2回10月→メニュー係になり、それぞれのメニューの目的を理解して練習できるようになった
3回11月→腰の怪我により体幹トレーニングをいっぱいやった
大きな刺激の変化はこのくらいでしょう。
心への刺激は序盤の振り返りで書いているようにまあまあありますし、他にも体への刺激の小さい変化(練習メニュー変わるとか、練習で意識すること変えるとか、ドリルでやること変えるとか、ストレッチのやり方変えるとか、体幹のやり方変えるとか)もそこそこありました。
僕はたまたまちょうど良いタイミングで新しい刺激が入ってきてくれました。
ありがたいことです。
皆さんは僕のように幸運だとは限らないと思うので、自分で新たな刺激を探しにいけると良いと思います。
そのために、トレーナーチーム、メニュー係、パートミーティングがあります。
もちろん僕でもいいですよ。
③練習の意図を知ること
②でも少し出てきましたが、スイム練も陸トレも、なんのためにやってるのか知ることが大切だと思います。
トレーニングの内容としては、メニュー係やトレーナに言われたことをやるだけで十分なように作ってあるはずです。
しかし、何を伸ばすための練習なのか知っておかないとモチベの維持が難しいと思います。
また、筋トレは鍛えている部位を意識するだけで効果が増しますし、スイム練でも負荷のかけ方とか追い込み方もより効果的になると思います。
スイム練のカテゴリー(EN1とかAN2とか)の意図はメニューの下に書いてあります。
専門用語使われてるのでわからない人はメニュー係に聞けばわかりやすく教えてくれるはずです。
それ以外の意図も理解しておくべきです。
なぜGKなのか、何のためのAgilityなのか、なぜDiveの1本目がSLなのか、何のためのチューブなのか、何のためのAnkle Pullなのか、何のためのKick-Swimなのか、何のためのhyp3なのか、、、。
特に意識して欲しいことはメニュー説明の時に説明されているはずです。
説明されていないことで意図が知りたければ、そのメニューを作ったメニュー係に聞きましょう。
すぐに答えてくれるはずです。
メニュー係は意図を持ったメニュー作りをしてくれています。
んー、時間余ったから100×4 Pull!とかはしてないはずです。
冬の間は単にベースを固める練習になることも多いかと思いますが、その中でも、自分で意図を見出すことができればさらなるステップアップにつながると思います。
陸トレもスイムに繋がるようなメニューを作ってくれています。
何度も言いますが意図を理解して練習するだけで全然効果が違ってきます。
④時間の使い方
スイム練の時間は限られています。
前後合わせて2時間くらいです。
それ以外の22時間で差がつきます。
スイム練でどれだけ頑張れるかもこの22時間にかかっています。
僕自身、この22時間の使い方はあまり上手ではなかったように思います。
授業は切っていたし、バイトも1時間を週2だけでした。
でもその分、時間の使い方が下手な人にしてはスイム練の質を維持できていたと思います。
それでもあまり頑張れない日もありましたが。
この一年は、水泳のために使った時間(当然ゴロゴロするのも昼寝するのも回復のうちなのでこの時間に入りますし、ご飯を食べるのも体を作るためなのでこの時間に入ります。)は関西国公立の水泳部の中で一番多い自信があります。
もちろん、筋トレ、体幹、バイクなど色々やることを増やすのも速くなるためには必要だと思いますが、「回復」も同じくらい大切です。
僕は回復のさせ方が下手だったのか、なかなか疲労が取れず、こんな生活にするしかありませんでした。
どんなに忙しくても夜の睡眠時間とストレッチの時間は確保しておいた方が良いと思います。
もう書くところなさそうなのでここに書いておきますが、ストレッチは各人に合ったやり方があるように思います。
僕は病院で言われた30秒3セットをやると、今までが嘘みたいに柔らかくなりました。
一方で一分半ぶっ続けで一回だけやったら柔らかくなったという人もいます。
おそらく普遍的であろうことは、毎日やることと、1セットの長さを30秒以上にすることだと思います。
⑤負荷の掛け方
自分への負荷のかけ方をうまいこと調節しましょう。
自分にかけられるストレスの量には上限があります。
コスパの良いことをするべきです。
コスパの悪いことまで全部やろうとしたらしんどいです。
不要なところ、あまり重要でないところ自分にでストレスをかけてしまうと勿体無いと思います。
(ここでの「コスパ」は少し特殊な使い方をしています。努力量に対する効果、というよりは、ストレス量に対する効果を表しています。「コスパが良い」とは、単位あたりのストレス量で得られる効果が大きいことを指しています。)
例えば、朝起きるの苦手なのに6時に来てドライするとかはコスパが悪いです。
そこに神経をすり減らすくらいなら、自分が得意なこと、つまり、効果は高いがあまりストレスのかからないことをいっぱいした方が良いと思います。
ストレスは疲労を溜めます。
練習でへとへとなのにどうでも良いことに時間も精神力も持っていかれては鬱になってしまいます。
しかし、コスパの悪いこと(それは大抵自分のやりたくないこと)から逃げてコスパの良いこと(それは大抵自分の好きなこと)ばかりやっていては限界が来るというのも避けられない事実です。
少しずつ、自分がやりたくないことのうち効果の高いものの量を増やしていかなければなりません。
習慣になるまで続けられれば、それはだんだんとコスパの良いものになっていきます。
(ストレス量は多いのに効果はあまりないことは一生しなくて良いですね。)
例えば筋トレをやりたくない人。
筋トレは高効果です。
やはりやるべきです。
初めは週一からで良いし、種目も少なくても良いと思います。
まずは始めることです。
誰かとこの曜日のこの時間に一緒に行くなどすればすぐに習慣になると思います。
うまいこと周りを利用しましょう。
僕の場合、高効果なのにやりたくなかったことはストレッチでした。
全然やる気が起きず、結局怪我をしてしまいました。
怪我をしてからやっと毎日やり始めて、やっと習慣になりました。
ストレッチは1種目を30秒だけとかでも良いので毎日やった方が良いです。
授業も単位だけ取れれば良いと割り切れるなら切れば良いと思います。
そこもストレス管理です。
授業に行かないことによるストレス減少とストレス増加を比べて決めれば良いと思います。
スイム練でも結局精神力は限られているのでどこで頑張るかが大切です。
全部のメニューを100%頑張れるのであればそれが一番良いですが、そんな人はなかなかいないと思います。
全部を70%くらいでやるくらいなら、一部の大事だと思うところを100%でやって残りを50%でやる方が効果は高いかもしれません。
ターン後のドルフィン、ひとかき目無呼吸もストレスのかかることです。
そこで精神力を使い切ってスイムを頑張れないなら、ターン後は諦めてスイムをめっちゃ頑張った方が良いのではないか、というのが僕の持論です。
もしかしたらただサボりたいだけだったのかもしれません。
僕はこれで速くなれましたが、もしかしたらそこで頑張っていればもっと速くなれていたのかもしれません。
どのように頑張るかはひとそれぞれだと思いますが、毎回の練習でここだけはめっちゃ頑張れた、というところを作るのが良いのではないでしょうか。
毎回精神力を限界まで使っていれば、だんだんと精神力の限界が増えていきます。つまり、ストレス耐性がつきます。
それにより、さらに自分に負荷をかけれれるようになって、さらに成長していく。
これがつまりはトレーニングなわけですね。
⑥過去の自分を目指さないこと
誰にだって調子が狂うことはあります。
順調に伸びていったように見える僕にだって何度かありました。
その時の話です。
僕の場合は、過去の自分を目指さない方が調子を戻せました。
ベストを出した時の動画と今の自分を見比べることは必要です。
何ができなくなっているのかの分析はしなければなりません。
しかし、だからといって、その時の泳ぎをそのままコピーしようとしても調子は戻りません。
その泳ぎのタイムが今のベストだからです。
どれだけ上手くその泳ぎをコピーできたとしても出てベストタイまでです。
そのベストを出してからしばらく練習してきたはずです。
それなのに遅くなるはずがないし、僕たちくらいのレベルなら泳げば泳ぐだけ速くなるはずだと僕は思います。
あと、ベスト出した時はできてたことが今できないなんてことないはずです。
数ヶ月でそんなに何か変わりましたか?
変わってません。
たぶん考えすぎです。
自分に合ったドリルをやって丁寧に泳いでいれば、勝手にまたできるようになってるはずです。
僕の理想は、自分の中で泳ぎのイメージを作ることです。
自分の強みとできるようになりたい泳ぎを掛け合わせて体に落とし込み、よく練習してレースに挑めば、良いタイムが出ると思います。
長くなってしまった気がします。
まとめると、前までできていたことがそんないきなりできなくなるはずないんやから、そんなに思い悩み過ぎずに、理想の泳ぎのイメージを持って丁寧に練習していけばベストが出るだろう、ということです。
ただし、これはあくまでも僕の意見であるということは強調しておきます。
⑦殻を破ること
自分の殻を破りましょう。
自分の殻を破るきっかけを見つけに行きましょう。
自分の殻を破る、とはどういうことかというと、自分に要求するレベルを上げるということです。
練習でもレースでも、自分に要求するレベルが上がれば殻を破れた、と言えるでしょう。
速くなっていくにはそれが必要だと思います。
僕の場合、殻を破る場面はレースか合宿でした。
レースで自分が思ってるよりもタイムが出た時に練習のタイムが遅いことに気づいたり(ゴールセットだと目標タイムがあってわかりやすいですね)、合宿でいつもよりもめっちゃ速いタイムで揃えられた時にいつもの練習で頑張りきれてないことに気づいたり。
レースでの殻破りは卵鶏論争になる気がするのでなんとも言えないです。
一方、合宿での殻破りは再現性があると思います。
合宿でなくても、他大との合同練とか、他大に少数で行って混ぜてもらうとかでも良いです。
自分がいつもよりも頑張れる、集中できる環境で練習すれば殻を破れる可能性が高くなると思います。
僕の場合はその環境は神大でした。
千須和がいたし、縄田などの速い人から刺激をもらうことができました。
そんな環境を探しに行けると良いですね。
今は関西国公立であればつながりができてると思うので川根についていけばそんなに苦労せず練習に参加できると思います。
近大とかにも行ってみても面白いだろうなと思います(僕は恐れ多くて行けません)。
⑧知識を得ること
どれだけ練習を頑張っていても、どんな泳ぎが速いのか、とか、どんなドリルがあるのか、とか、どんなイメージで泳げばいいのか、とかを知っていなければ速くなれるはずがありません。
その助けになれば良いなということで、この第二章を書いているわけですが。
そういった知識を得るために京大水泳部にはパートミーティングというものがあると思います。
今シーズンのブレ面は、この知識を得るという点において素晴らしい取り組みをしていました。
永井くんさすがです。
一方で、フリーショートはブレ面ほどはそういった取り組みができていなかった気がします。
ぜひ後輩たちにはもっともっと知識を共有していくパートミーティングにして欲しいと思っています(他の面も)。
ただし、それだけでは得られる知識に限界があります。
今シーズンのように、OBさんや谷口卓さんに来ていただければそれに越したことはないですが、幸運でないとなかなか難しいかもしれません。
ですから、ネットから情報を探してきましょう。
ドリルとか泳ぎのイメージの動画はインスタとYouTubeで、それ以外の知識はツイッター(現X)で得ることができます。
以下に僕のおすすめのアカウントを書いておきます。
インスタ
川根(川根がいいねしたやつが勝手に流れてきます)
YouTube
山﨑裕太(トレーナー、メニュー係向けが多い)
ダッシュスイミングスクール(山﨑裕太さんのスクールで選手向き)
深沢大和の超特急チャンネル(おもろいがあまり役には立たない)
ツイッター
山﨑裕太(この人が一番良い)
村松佑一(良いが一番大事なところは教えてくれないイメージ)
SHIN(分析のスペシャリストだがレベルが高すぎて僕たちはこの人の言うとおりにしたら遅くなるかもしれない)
爲末大(元陸上選手の凄い人でメンタルとかについて時々知識を上げてくれる)
川根くん、こういうの詳しいと思うのでおすすめのアカウントをコメントに書いておいてください。
爲末大さんのツイートでひとつとても役に立ったものがあるので紹介しておきます。
https://x.com/daijapan/status/1930769972693016968?s=46&t=kRCCkwYITJCVs317n8yevg反芻思考を止める方法、というタイトルです。
全部読んでもらうのが一番良いですが、大事なところだけ抜粋すると以下のようになります。
「わたしは試合前は床のシミでも、壁でもなんでもいいのですが、ある一点を見続けてました。人間の思考は自動的に始まるのでそのシミから何かを思い出し思考が始まるのですが、それに気づくとまたシミに視点を戻す。その繰り返して、思考が穏やかに消えていきます。
あの時の感覚を言語化するとしたら、自分を器のようにしていく作業でした。身体の内には自分はいない。環境との間に自分がいる。もうちょっとわかりやすくいうとバカっぽくなるのが大事でしたね。」
今年の京選前にこれを読み、床のシミ集中法がハマって良いタイムが出ました。
アクアリーナには幸いなことに良いシミがいっぱいあります。
「自分を器のようにしていく」というのが緊張で体に力が入らなくなってしまいがちな僕にはよかったです。
全員倒すというパッションで泳いでる人にはもしかしたら合わないかもしれません。
あとは、日本選手権の決勝とか世界選手権とかのめっちゃ速い人の泳ぎを何度も何度も見るのも良いです。
この人の泳ぎ自分と似てるな、という人を見つけられればその人を参考に(参考に、というのは少し曖昧な表現ですが、簡単に言えば真似る、ということです)しましょう。
残念ながら僕はそういう人を見つけられませんでした。
神大の竹川くんは結構僕の上位互換みたいな泳ぎをしててちょっと参考にしたりしました。
泳ぎ似てる人を見つけられなくても大丈夫です。
この人のここいいなってところを見つけて、それを全選手分合体させたら世界最速になれるはずです。
そして、得た知識とか練習で掴んだ感覚とかは必ずどこかにメモしておきましょう。
人間はすぐに忘れてしまいます。
さて、ここまで8つのポイントについて書きました。
振り返っておくと、
①泳ぎの三要素(筋力、可動域、技術)
②新しい刺激
③練習の意図を知ること
④時間の使い方
⑤負荷の掛け方
⑥過去の自分を目指さないこと
⑦殻を破ること
⑧知識を得ること
でした。
よければ参考にしてみてください。

⒊伝えておきたいこと
さて、まだ続きます。
次は僕が思っていたことを書くだけなので前の章よりは長くならないと思います。
❶自分を知ろう
自分のことを知ってください。
選手は④⑤につながってくると思います。
自分は何が得意で何が苦手か?
メンタルは強いか弱いか、どう強いのか、傷つきやすいが回復が早いのか、傷つきやすいし回復も遅いのか。
朝起きるのが苦手なら、なぜ苦手か、どの局面が苦手なのか、何時間寝れば十分なのか。
プルが苦手なら、キャッチができないのか、単に体力がないだけなのか、泳ぎが小さいのか、水を逃してしまっているのか。
自分のことを知らなければ、何を改善すれば良いかわからず、成長できません。
自分を知った上で、必要な対策を講じる。それを実際にやってみる。ダメなら新たな対策を考える。
競技面でも生活面でも結局はこれだと思います。
❷他人のことも知ろうとしよう
京大水泳部はチームなのである程度他人のことも知っておかないと怪我します。
その人のメンタルの強弱くらいは知っておいて気をつけて行動しないと何もしてないのに加害者扱いされることがあります。
気をつけましょう。
誰かが自分から見たらおかしい行動をしていても、きっとその人にはその人の考えがあってのことです。
皆を尊重できれば良いのかもしれません。
僕はそんなことしてたらパンクするのでしてません。
❸理性を持とう
すぐ病む人、すぐいっぱいいっぱいになる人、すぐ誰かにギャーギャー文句言う人は理性が足りていないと思います。
❶と重なりますが、自分のことを知って自分をコントロールすればいいのにと思います。
感情をうまく利用するのが理性です。
つまり、目標達成を妨げる負の感情は抑え、目標達成を促す正の感情は増幅させるのが理性です。
感情に振り回されているようでは上を目指す土俵にも立てないと思います。
感情をコントロールしようとしなくて良いです。
行動をコントロールすれば良いだけです。
あと、泣いた人を被害者で泣く要因を作った人が加害者だと決めつけるのは良くないです(これはうちの代だけかもしれません)。
すぐ泣く人もまた、理性が不足していると思います。
❹高い意識を持とう
現状に満足せず謙虚に高い意識を持って生きましょう。
競技面でそれが必要なのは当然です。
それ以外の部分でもそうあって欲しいと思います。
意識の低さは伝染します。
チームとして水泳をやっているので、意識の低さは大きな問題となり得ます。
わかりやすいもので言えば遅刻と無断欠席です。
一年目ならまだしも、遅刻しないとか欠席しないを目標にしてるのもどうしたものかと思います。
スタッフも、一年目ならそれで良いかもしれないですが、ミスしないを目標にしてるのはどうしたものかと思います。
遅刻しない、欠席しない、ミスしないは基礎の基礎でそれができてなかったら話にならないのではないでしょうか。
今になってもそれができていないならそれを目標にするしかないんでしょうけど。
これは下の層の話ですが、すでにある程度のことができている人たちもまだまだ上には上がいます。
競技面、生活面どちらにおいてももっと上を目指していくべきだと思います。
❺テイカーにばかりならないようにしよう
マネージャー、トレーナー、メニュー係、役職持ちは部のために何かしてくれています。
速い人はチーム目標達成のために対抗戦で点を取ってきてくれたり練習を引っ張ってくれたりしています。
ギバーですね。
他の人たちはどうでしょうか。
テイカーにばかりなっていませんか。
何かこのチームに貢献できているでしょうか。
チームに貢献、というと少し難しく感じるかもしれません。
しかし、練習中に誰かと競って頑張るとか、しんどそうな人の話聞くとかでも十分ギバーになれます。
一方、頑張っている人の邪魔をするのは逆ギバー、つまりテイカーと同じですね。
❹で出てきた意識の低い人はつまりテイカーです。
テイカーになるな、というわけではないです。
誰もがギバーでありテイカーであるはずです。
ギブアンドテイク、日本語で言うと助け合いですね。
遅い側の人は常に速い側の人のテイカーであると言っても良いでしょう。
チームの目標が対抗戦に据えられている以上、やはり速い人がチームの中心になります。
遅い人は自分より速い人の邪魔にならないようにしなければなりません。
遅いなら遅いなりの行動をしましょう。
遅いのに、つまりタイムでチームに貢献できないのに、遅刻したり練習中ヘラヘラしたりして周りの足引っ張ってるようではどうしようもありません。
足を引っ張るだけの人はチームにはいない方がプラスでしょう。
何かチームに貢献できることが見つかればそれに越したことはないし、速くなってタイムで貢献できればなお良いです。
もし、自分が何で貢献できるか分からなかったとしても、できるだけチームの足を引っ張らないようにするくらいはできるはずです。
チームに貢献せず足を引っ張っているだけの人がチームへの要望口にしたとしても、それは現状に対する文句にしか聞こえません。
チームの足を引っ張ってしかも文句ばかり言う、そんな人いない方がマシですね。
と、かなり極端な話をしましたが、僕が見てる限りでは、今の京大水泳部にここまで酷い人はいないと思います。
しかし、予備軍はいると思います。
その人たちには、今良い感じのチームの流れにブレーキをかけることのないようにして欲しいなと願っています。
この章は以上です。
具体的でなく、イメージしにくい項目が多かったと思いますが、心の中に留めておけばどこかでヒントになるかもしれません。

⒋皆さんへのメッセージ
京泳会の皆様
日頃から京大水泳部にご支援ご声援をくださりありがとうございます。
インカレも、京泳会Lineを見るとたくさんの方に応援していただいて非常に嬉しかったです。
これからは僕も現役を支えていきたいです。
その中でもいわゆる黄金世代のOBさん
お忙しい中、アドバイスをいただいたり、練習とミーティングに来ていただいたりしました。
ありがとうございました。
インカレまでサポートしていただき、おかげさまで気持ちよく引退することができました。
インカレのタイム遅くてごめんなさい。
山本晴基コーチ
今シーズンのトレーニングをどうやっていこうか不安だった時にお話しさせていただくことができました。
おかげさまでチーム目標も達成でき、インカレの出場も叶いました。
ありがとうございました。
谷口卓さん
忘れてしまっていた「脱力」を思い出すことができ、さらに、「卓ロール」の開発もできました。
ありがとうございました。
これからも応援しています。
家族
あんまり水泳のこと喋らなかったけど多分まあまあ応援してくれていたと思います。
結構お金も出してもらったと思います。
ありがとう。
あと、おばあちゃんのご飯でここまでタイムを伸ばせました。
いつもありがとう。
先輩
いいチームでした。
今までの積み重ねがあったからこその関国優勝と関カレ一部昇格だったと思います。
最後に良い思いさせていただきありがとうございました。
後輩
まだまだこんなもんじゃないと思います。
まだまだ速くなれると思います。
ファンとして応援しています。
あと、ご飯行きたいですが、自分から誘う気力はありません。
誘う気力のある人で僕とご飯行きたい人は誘ってください。
マネージャー
いつもの練習から試合までありがとうございました。
レース動画の動画入ってる声聞くの好きでした。
ラップ帳も動画もできるだけ保存しておこうと思います。
トレーナー
腰でお世話になりました。
コンディショニングもまあまあやってもらった気がします。
ありがとうございました。
なんか今のトレーナーのメンバー見たら個性的で有能な感じがしました。
今の活動範囲に縛られずに色々できたら面白そうです。
同期
はいお疲れさん。
他大学のみんな
関西国公立(+龍谷+渕崎)と旧帝の方々と知り合いになれました。
特に、半フリと1フリのみんな(ほとんど後輩ですね)には練習でも試合でもお世話になりました。
僕の記録なんかとっとと抜かしてもっと上で勝負して欲しいなと思います。
ファンとして応援してます。

⒌終章
さて、このくらいで終わりましょうか。
振り返れば楽しい3年半でした。
僕は幸運でした。周りに恵まれていたなと思います。
正式には言っていなかった気がするのでここで表明しますが、朝パ隊長はしゅんすけに引き継ぎます。
これからも皆さんの活躍を願っています。
Go!京大!
2022 全進
2022→2023 青炎
2023→2024 総乱舞
2024→2025 STARDOM
1. 無題